会長挨拶 JBICについて

会長就任のご挨拶

会長 赤羽 浩一

一般社団法人バイオ産業情報化コンソーシアム 会長 赤羽 浩一

(第一三共株式会社 顧問)

 この度、JBIC会長に就任いたしました赤羽浩一です。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。

 生涯でがんに罹患する確率は2人に1人であるとの統計予測が報告されていますが、病気の中でもがんは一番の関心事です。がん治療として、がんの原因遺伝子をターゲットとした分子標的薬である抗がん剤の開発が進展していますが、最近では免疫チェックポイント阻害剤が注目されています。これはがん免疫療法であり、従来とは全く異なる画期的な治療法です。このような革新的医薬品を開発するには、疾患のメカニズムの解明などの基盤的な研究開発から診断マーカー探索や高性能な診断・測定機器などの開発も含めた幅広い分野の研究開発が必要です。アカデミアや企業単独で研究開発を実施することは難しくなってきており、オープンイノベーションの必要性が叫ばれています。まさに、産学官連携のオールジャパンの体制で臨むことが必要だと考えています。

 患者個人のゲノム情報を解析し、個々の患者に適した治療法の選択を行うがんゲノム医療の保険適用が2019年6月から開始されました。全国のゲノム医療の情報を集約して保管し、その情報を新たな医療の創出や新薬・診断薬開発のために利活用する計画も進んでいます。ゲノム情報だけでなく臨床情報も含めた大量の医療情報(医療ビッグデータ)の活用が重要な課題となっていますが、データの特性を理解し、AIも含めた各種の解析手法を駆使できる技術者(データサイエンティスト)が不足して困っているのが現状であり、このような人材育成が急務であると考えています。

 JBICは2000年の発足以来、健康・医療分野に関する基盤的技術の研究開発を産学官連携の下に行い、その成果を広く製薬、ITをはじめとする産業界、アカデミア等へ普及する活動を続けてきました。今後も革新的な医薬品・医療機器等の創出及びこの分野でのICTの利活用に向けて、最先端の研究開発を推進するとともに、その成果の産業界への円滑な移行を支援して行きたいと考えております。微力ながら本会の発展のため最善の努力を尽くす所存でございますので、何卒よろしくご支援ご協力のほどお願い申し上げます。

2019年7月