研究開発 事業内容

遺伝子多様性モデル解析

NEDO受託事業(平成15年度~平成17年度)
予算総額 75億円
実施体制
<プロジェクトリーダー>
国立遺伝学研究所 五條堀 孝
<参加企業>
中外製薬、日清紡績、アプライドバイオシステムジャパン、東洋紡ジーンアナリシス、アステラス製薬、富士通、三菱総合研究所、三井情報開発、NTTデータ、日立ソフトウェアエンジニアリング、癌研究会
<共同実施先>
産業技術総合研究所、東海大学、順天堂大学、東京大学、徳島大学、国立国際医療センター、国立精神・神経センター、東京女子医科大学、早稲田大学、国立遺伝学研究所、愛知県がんセンター、名古屋大学、広島大学

事業概要

 自己免疫疾患(慢性関節リウマチ及び尋常性乾癬)、糖尿病、摂食障害及びがんをモデル疾患とし、日本人を対象に患者と一般日本人集団(健常人)のサンプルを収集し、全ゲノム上からマイクロサテライトやSNPのタイピングを行う。得られた多型情報等から疾患感受性遺伝子や薬剤感受性遺伝子を効果的に同定するためのモデル疾患関連情報データベースの構築および遺伝統計学的解析ソフトウェアの整備を行う。
 これらデータベースとソフトウェアからなる知的基盤を用いてモデル疾患の疾患感受性遺伝子および薬剤感受性遺伝子の同定を行い、その結果を踏まえフィードバック的に知的基盤の改良・高機能化を図る。
 サンプルは不死化細胞株化し、ヒューマンサイエンス財団研究資源バンク等に寄託する。また、データベースとソフトウェアからなる知的基盤は一般に公開していく。

主な成果

  • 多因子疾患関連遺伝子の多様性解析
     自己免疫疾患、糖尿病、摂食障害をモデル疾患とし、患者と健常者集団のサンプルを収集し、モデル疾患毎の疾患感受性遺伝子の同定を行った。モデル疾患毎の収集サンプル数、解析マーカー数(MSマーカー、SNPsマーカー)および、同定された疾患感受性候補領域遺伝子数は下表のとおり。
    疾患名 収集サンプル数 解析マーカー数 疾患感受性候補
    患者 健常者 領域 遺伝子
    関節リウマチ 471 656 27,039MS
      518SNPs
    47 >12
    尋常性乾癬 574 27,158MS
      646SNPs
    42 >4
    摂食障害 535 872 23,465MS
      204SNPs
    11
    2型糖尿病 950 950 616SNPs

     また、収集された患者および健常者の末梢血から樹立した不死化細胞株の一部は、貴重な研究資源として公的バンクへ寄託し、貴重な研究リソースして利活用している。

  • がん関連遺伝子の多様性解析
     日本人のがん患者を対象にDNAおよびRNAサンプルを収集し、SNPs解析を中心としたがん患者DNAの遺伝学的解析から構築された遺伝子多型情報と、cDNAマイクロアレイを用いたがんの遺伝子発現解析情報、治療に対する応答性や副作用など患者の臨床的個体情報を公開。
     また、がん患者の抗がん剤治療などに対する副作用を規定する遺伝子多型、各種がんの薬剤応答性を規定する遺伝子群や難治性のヒトがんの発生に関与する遺伝子群の同定に成功し、その後の患者個人個人に最適な抗がん剤個別化治療の実現に寄与。
     がん治療(抗がん剤、放射線)に対する感受性および副作用予測システムは下表のとおり。
    解析対象 収集
    サンプル数
    解析遺伝子数 開発した予測システム
    がん患者ゲノム
    のSNPs
    1,648 487
    (3,144SNPs)
    パクリタキセルによる好中球減少症
    ゲフィチニブによる下痢症状
    イマチニブによる好中球減少症
    ドセタキセル好中球減少症
    放射線治療における急性皮膚炎
    がん組織の
    遺伝子発現
    5,183
    (1,627人)
    21,000 乳がんにおける治療効果(パクリタキセル)
    乳がんにおける治療効果(ドセタキセル)
    乳がんにおける治療効果(エピルビシン)
    食道がんの放射線化学療法効果
    直腸がんの放射線化学療法効果
    悪性リンパ腫の予後
    大腸がんのリンパ節転移
    大腸がんの肝臓転移予測
    大腸がんの発育形態
    軟骨系腫瘍の悪性度分類